研究課題/領域番号 |
13720019
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国際法学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
高村 ゆかり 静岡大学, 人文学部, 助教授 (70303518)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 遵守 / 環境条約 / 世界貿易機関(WTO) / 京都議定書 / オーフス条約 / 国際法 / 環境法 / 気候変動 / 紛争解決 |
研究概要 |
まず、昨年度の中心的検討課題であった京都議定書の遵守手続・メカニズムの交渉動向を追いながら、その遵守手続の中で適用される帰結の法的拘束力の含意について検討を進めた。帰結の法的拘束力は、相対的に見て、締約国による環境条約の遵守を促進する効果を有するが、他方で、遵守手続とさらには条約全体の制度設計のあり方によって、帰結に法的拘束力があるのと同等またはより大きな遵守促進効果を生み出すことができる。例えば、京都議定書の遵守手続のもとで仮に帰結に法的拘束力を伴わない場合であっても、次期約束期間からの差引という帰結は、従わなければ京都メカニズムの利用資格が停止してしまうため、多数の国はこの帰結に自発的に従わざるをえないと推測される。これは条約上付与されている権利や特権の停止を利用して遵守を促進するしくみと評価しうるが、このようなしくみの積極的利用が持つ含意についてはさらなる考察が必要である。次に、多数国間環境条約と自由貿易レジームに関する検討の一環として、遵守手続とWTOレジームとの間の関係について検討した。WTOレジームにおいては、一般に多数国間合意を尊重する傾向があり、実際に多数国間環境条約の遵守手続のもとで適用される貿易制限的措置がWTOルールに抵触するものとして争われたことはない。この問題に関する研究成果については、日本国際法学会2002年度秋季大会の報告「世界貿易機関(WTO)と環境保護-多国間環境条約からの視点」において報告を行った。最後に、その他の環境条約の特徴的な遵守手続について検討を進めた。1998年採択の環境情報へのアクセス、環境に関する政策決定への市民参加、及び、裁判を受ける権利に関する条約(オーフス条約)のもとで、2002年に採択された遵守手続の検討を進めた。この2年間の研究の結果残る課題について検討を進めながら、全体の成果をまとめて公表することを次年度予定している。
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