科研1年目の研究計画書に即して当該年度末までに得られた成果は次のようなものである。 ドイツで得た基礎資料の分析を通じ、ドイツの資本市場発展を調べることは次の理由から難しいことがわかった。すなわち現地でも文献が乏しく、またデータベースによる資料収集が難しい。解説の限られた文献の内容の理解には、現地の関係者から意見を聞くことが不可欠であるという技術的な問題が第一にある。さらにドイツにおける市場発展は色々な経済ないし法律以外の要因に影響されるので、そういった要因を考える必要がある(これを正面からとりあげる文献はドイツでも見出しえなかった。しかし一例をあげれば証券投資を導入するとほぼ同時に証券投資を義務教育の一貫として行う準備がなされている。わが国ではドイツよりも大衆投資が進んでいるにもかかわらずそのような動きは低調である。こういった状況を無視して資本市場発展を評価しても不十分であろう)。この二つについてさらに分析を進めなければ研究の結論を十分に論証することができない。 そこで構想を4つ((1)ドイツ資本市場振興法改正の経緯、(2)投資家保護、(3)ドイツ特有の制度、(4)欧州他国の反応)に細分化し、その各々について上の二つのアプローチからの検証を試み、わが国の参考となりそうな成果が得られたものを最終的な成果として発表したいと考えている。論点としては(1)については改正のメカニズム、(2)については投資家保護の具体的必要性とその手法、(3)については上で述べた義務教育や、あるいは証券税制軽課措置のメリットデメリット(わが国への導入可能性という観点から判断)、(4)については他国の対抗的な反応(とくにEUの競争推進の理念に矛盾するもの)に対する政策方針、に重点を置く予定である。
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