研究課題/領域番号 |
13720045
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会法学
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研究機関 | 神戸商科大学 |
研究代表者 |
川瀬 剛志 神戸商大, 商経学部, 助教授 (60275302)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | WTO(世界貿易機関) / 衛生植物検疫(SPS)協定 / 貿易と環境 / 遺伝子組み換え / カルタヘナ議定書 / 生物多様性条約 |
研究概要 |
申請課題においては、WTO協定の無差別・多角・自由な貿易の原則と、生物多様性条約カルタヘナ議定書予防的な遺伝子組み換え(GMO)製品規制の法的抵触関係と調整法について明らかにした。 カルタヘナ議定書は生物たるGMO製品について輸入国の事前同意制を導入しており、かかる規制はWTOにおける数量制限の禁止に反する(GATT11条)。また、用途、味・外観、関税分類項目の点で自然界に存在するものと同様のGMO素材を差別することは、伝統的な「同種の産品概念」による無差別原則への抵触も懸念される(GATT1条・3条・13条)。かかる植物衛生検疫(SPS)措置については、通常WTO協定附属書SPS協定への整合性確保によって維持できる。しかしながら、予防原則に従ったカルタヘナ議定書の危険評価(1条)はSPS協定が要求する科学的証拠に基づく評価ではなく、両者の整合性に不安を残す。更にSPS協定が措置の最小通商阻害性を要求するのに対して、カルタヘナ議定書が代替手段の模索なしに通商制限の導入を規定する点においても、隔たりがある。 両者の調整についてカルタヘナ議定書は、前文において議定書が他の国際協定の権利・義務に対する影響を与えない旨を宣言しており(2条)、このかぎりにおいてWTO協定との整合性は図られる。とりわけ、カルタヘナ議定書の基準より厳格な措置を取る場合、措置の国際法上の義務への合致が要求されており、かかる場合にはSPS協定5条の要件との矛盾は回避されよう。 他方WTOも、カルタヘナ議定書によるGMO製品規制を国際的基準として取り扱い、これに合致するGMO製品の輸入制限をWTO整合的と認めることで(SPS協定3条)、両者の併存を図ることができる。また、GATTにおいても先のECによるアスベスト規制に関する紛争解決報告はGATT20条bによる人体・動植物の保護のための輸入制限の可能性を拡大した。特に同報告書は、分子レベルでの産品の差異が消費者の同種性の認識に与えることを認めたことから、無差別原則の中にGMO産品と非GMO産品の差別を織り込む可能性も検討されてよい。
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