研究課題/領域番号 |
13720061
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (70313484)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 金融政策 / 金融緩和 / 自民党 / 日本銀行 / 大蔵省 / バブル / 首相 |
研究概要 |
本研究では、1987年から1990年にかけての日本の金融政策を事例として、金融政策の政治的決定要因について分析を試みた。まず、金融政策およびそれと密接に関係する財政政策にどのような政治アクターが関わり、また各政治アクターがどのような利益、目的を追求するか想定し、これらの想定から、金融政策及び財政政策が形成される一般的パターンを明らかにする。その上で、これに基づいて、1987年から1990年にかけての日本の金融政策を分析した。具体的には、金融政策、財政政策に関わっている重要なアクターとして、自民党政治家、首相、大蔵省、日本銀行を想定し、(1)自民党政治家の利益としては再選を想定し、有権者の要求に対応することを政策目的とする、次に、(2)首相の利益として政権維持を想定する。ここから二つの政策目的を導き出す。首相は、日米関係を良好な状態で維持することを図る一方で、政権維持を図るために長期的課題に取り組む。 大蔵省、日本銀行は組織維持を利益として追求し、この結果、大蔵省は財政均衡或は財政赤字拡大の防止であり、日本銀行は物価の安定を組織目的として追求する。 金融政策と財政政策の形成にあたってどの政策目的が優先されるかは各アクター間の制度的関係によって決定される。自民党は首相を選出することで首相に優位し、首相は内閣を率いるので大蔵省に優位し、大蔵省は旧日銀法のもとで日本銀行に対して優位した。この結果、(1)有権者の要求に対応することを、(2)良好な日米関係の維持、(3)長期的課題の達成、(4)財政均衡、(5)物価の安定の順で政策目的が追求され、上位順位の政策目的の達成と下位順位の政策目的の達成を共に行うことが困難な場合、上位順位の政策目的の達成が下位順位の政策目的の達成に、優先される。 1987年には円高不況の圧力の高まる中でまず、一番優先順位の低い、物価の安定という目的が放棄される形で金融緩和が行われ、次いで、財政均衡の目標が放棄され、財政政策の拡大が行われた。1987年秋にブラックマンデーが発生すると、日米協調の観点から金融緩和政策が維持された。1988年中、好景気の中、各政治アクターの政策目的が達成されていたので金融緩和政策が継続された。1989年初頭に消費税を導入しようとする首相と大蔵省の前に、日本銀行が金融引き締め政策に転じる時期が若干おくれたが、この後、地価高騰に反発する有権者からの圧力の前に自民党政治家がバブルつぶしを求めるようになったので、日本銀行は1990年まで金融政策を引き締めることができた。
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