研究課題/領域番号 |
13720078
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
笠本 美花 早稲田大, 社会科学部, 助手 (70329051)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 中国 / 延辺朝鮮族自治州 / 少数民族 / 民族自治 |
研究概要 |
中国の少数民族自治に関する法および政策について、先行研究を検討した結果、概ね以下4点の問題点が提出されていた。1.中国の少数民族区域自治政策の本質は、「政治的自治」からは程遠い単なる「文化的自治」である。2.少数民族に与えられた諸権利は、個人の権利から生じたものではないため、自民族の自治地方以外に住む多くの少数民族各個人はその恩恵を受けていない。3.中国では民族とは、建国作業の中で中央政府から民族として認定されたものを指し、民族自治区域も上から与えられた性格が強い。4.少数民族の諸権利を規定した法は、曖昧な文言が多く、特に罰則等の細部規定に欠け、「絵に描いた餅」となっている。 しかし、延辺朝鮮族自治州を事例に検討及び調査を行い、以下4点の新たな知見が得られた。1.延辺朝鮮族自治州は、朝鮮族にとって受動的に与えられたものではなく、中国への帰属・分離独立・北朝鮮への帰属、という選択肢の中から自身で選び取った成立過程を持つ。2,延辺朝鮮族の朝鮮語能力と、延辺以外に住む朝鮮族能力の格差は、中国の少数民族法・政策の欠点を示すと同時に、民族語による教育の普及等、区域自治における文化的自治の一定の成果を示している。3.政治的自治からは程遠い一方、中央政府と思惑を合わせ、粘り強い交渉を継続することによって、延辺朝鮮自治州は、朝鮮半島との交流、朝鮮半島との交通網整備、世界の朝鮮民族との国際交流という敏感な分野で発展を見せている。このような交流の実現・維持は、単なる文化的自治として軽視されがちであった民族語普及に負うところが大きい。4.朝鮮族研究者が、自治州の抱える諸問題について、民族自治法・政策を見直す視点から論文を発表しはじめており、事例別に条例で具体的な罰則を規定する等の提案が行われている。
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