本研究の目的は、買収企業と非買収企業の事業の相似性、組織特性、マクロ要因が合併、買収、統合の組織再構築モードの選択に与える影響を明らかにすることである。具体的には、事業の相似性や技術特性、企業規模、過去の資本・取引・提携関係、政治リスクなどの諸要因が組織再構築モードの選択に与える影響について、統計学的手法を用いて実証研究する。本研究で予想される結果は、買収後の組織再構築モードは上述の要因にシステマティックに影響され、それぞれは限定的、特定の状況のもとで行なわれる傾向があるというものである。平成14年度の研究実績は次の通りである。 1.平成12年と平成13年に日本企業が関与した企業合併・買収事例についてサーベイを実施、収集したデータを統計手法を用いて分析し、仮説を検証した。 2.データの予備分析では、買収企業と非買収企業の事業相似性が高くなるに伴い、買収後の統合度が高くなるという仮説を概ね支持する結果が得られた。より精緻な検証結果が得られ次第、他の検証結果と合わせて学会および論文で発表する予定である。 3.平成15年3月には海外大学主催の国際会議で研究成果を報告した。参加者との意見交換で得られた示唆をもとに、国内の合併・買収と国際的な合併・買収の比較分析を開始した。仮説検証の結果は平成15年中に学会および論文で発表する予定である。
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