研究課題/領域番号 |
13730109
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中條 祐介 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (40244503)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 利益平準化 / コーポレート・ガバナンス / 会計政策 / アーニングス・マネジメント / プロフォーマ利益 |
研究概要 |
本研究は、会計数値の制御問題を解明し、コーポレート・ガバナンス論(CG)の発展に寄与することを目的としている。今年度は利益平準化の問題を重点的に分析した。従来、利益平準化研究は損益計算書上の利益数値が対象であったが、本研究ではプロフォーマ利益(PFE)に焦点を当てた。 PFEとは、一般に認められた会計原則(GAAP)に準拠せずに計算された利益情報である。近年急速に普及したPFEには、(1)GAAP利益を相当程度上回る傾向がある、(2)GAAP利益が赤字でもPFEでは黒字のケースが多い、という特徴がみられる。ただし、PFEの情報効果については、GAAP利益を上回る情報内容が含まれているという証拠は見つかっていない。それでは経営者はなぜPFEを公表するのだろうか。この点について2つの仮説を提示した。一つは業績低迷企業が実際の業績から投資家の目をそらせるためというものである。いま一つはGAAP利益では自社の経済的実質を正確に描写することができないため、独自にPFEを計算し、公表するというものである。先行研究は二つの観点をそれぞれ支持する証拠を示しているが、インセンティブの相違が開示の方法に差をもたらしている。GAAP利益との調整を示さずにPFEのみを開示している場合は前者の観点に動機付けられている傾向がある。GAAP利益との調整が示される場合は新興企業や成長企業に多く見られ、これは後者の観点に動機付けられている傾向がある。以上のようなPFEは新たな利益平準化の場として利用されている可能性がある。すなわち、PFEベースで業績の安定性を強調するわけである。 CGとの関係では、PFEを用いた過度の業績操作に対してSECが文書を公表した。これを受けてGAAP利益との調整表の添付など大きな改善が見られた。比較可能性と透明性を高めることでPFEの情報有用性は大きく高められることが期待される。
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