研究課題/領域番号 |
13730110
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
音川 和久 神戸大学, 経営学研究科, 助教授 (90295733)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 新規株式公開 / 経営者利益予測 / 利益マネジメント / 四半期財務報告 / 情報の非対称性 / 市場流動性 |
研究概要 |
ベンチャー企業の育成・発展を資金調達面から支援するために設立された新興企業向け証券市場における会計・監査問題について、複数の角度から実証的な分析を展開した。 まずは、新規株式公開企業の業績予想は海外の新規株式公開企業や日本の既存上場企業に比べて不正確ではないという昨年度の分析を踏まえて、そうした予想利益額を達成するための利益マネジメントが新規株式公開企業によって行われているかどうかを調査した。新規公開時に過大な業績予想を公表した企業は、予測誤差を減少させるために利益捻出型の会計発生高を用いた利益マネジメントを行っているが、過小な業績予想を公表した企業は、そうするために利益圧縮型の会計発生高を利用しているわけではないことが確認された。2番目に、新規株式公開時点の前後7年間という期間における利益マネジメントの実態も包括的に調査した。利益捻出的な会計発生高を用いて報告利益を改善させるような利益マネジメントは、新規株式公開直後の期間において特に顕著であったが、公開直前期間には観察されなかった。なお、こうした研究成果に関しては、アメリカ会計学会(AAA)の2002年度年次総会において研究発表を行う機会を得た。 次に、新興企業向け証券市場に上場するベンチャー企業に対し義務づけられた四半期財務報告の有効性について検証した。ここでは、四半期決算発表周辺のビッド・アスク・スプレッドおよびデプスの動向を分析することで、四半期財務報告が証券市場参加者間の情報の非対称性や市場流動性を改善させる効果をもつことが析出された。こうした成果は、決算発表周辺のビッド・アスク・スプレッドやデプスの動向を日本の証券市場について初めて調査した点で先駆的な研究であり、また2003年度からその他上場企業にも四半期財務報告が段階的に義務づけられることになった点からも貴重な証拠を提供するものと思われる。なお、こうした研究成果についても、目本管理会計学会リサーチ・セミナーで研究報告するとともに、そこでの議論を踏まえて補足的な分析を追加した上で、2003年4月のヨーロッパ会計学会(EAA)第26回年次大会において研究発表を行う予定である。
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