研究課題/領域番号 |
13730112
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
桜井 貴憲 (櫻井 貴憲) 東北学院大学, 経済学部, 助教授 (50326708)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 銀行 / 会計情報 / 会計利益 / 自己資本 / 税効果 / 土地の再評価 / 金融商品 / 公的資金注入 / 財務会計 / 株価形成 / 実証研究 |
研究概要 |
株式市場において形成される株価には、資金配分が最適に行われるようにするためのシグナルとしての役割がある。株価がその役割を果たすためには、そこで取引される株式の品質についての情報、言い換えればそれを発行している企業の品質についての情報が、市場参加者の間に十分に行き渡っていることが必要である。しかしながら、投資者よりも発行企業の方が豊富な情報を持っており、情報の非対称性が存在するのが現実である。そこで財務会計に期待されていることの一つは、その情報の非対称性を緩和させるような会計情報を提供することである。では実際に会計情報は投資者の意思決定に貢献しているのであろうか。とくに近年大きな制度改革のあった金融商品の会計情報などについて、そのような観点からとりわけ金融機関の提供する会計情報に焦点を当てて研究を進めている。ただし会計情報全体から見れば、金融商品の会計情報はそのごく一部であり、主要な情報ではない。そこでまずは金融商品の会計情報について研究する前に、会計利益や自己資本といった主要な会計情報と株価形成の関連性を分析することが重要である。わが国銀行の20年分のデータを用いた分析結果によると、会計利益に関する情報は1980年代は追加的な株価説明力を有していたが、1990年代以降にはその地位を自己資本に取って代わられているという興味深い分析結果を得た。また1990年代末から2000年代始めにかけて銀行の自己資本に影響する大きな制度改革が行われ、また銀行はそれらをいわば利用するかたちで自己資本の増強に努めてきた。そこでそれらに関する会計情報と株価形成の関連性を分析した結果、上記の4項目を除いた実質的自己資本は株価形成と強力な関連性を有するが、主に自己資本増強のために計上された繰延税金、土地の再評価差額金、公的資金注入については、株価形成との関連性が極めて低いという分析結果が出た。また金融商品についても同様の分析結果が出た。これら一連の発見事項は、会計学的な意味において意義を有するだけでなく、金融機能・日本経済の再生というマクロ経済政策的な意味においても、興味深い結果であると思われる。
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