研究概要 |
1.有限単純群Gの奇数位数の極大部分群Mを考える。Mの位数を割る任意の素数pに対してGのpランクが1であればMはフロベニウス群であることを示した。この条件を満たす単純群は無限に存在する。証明にはベンダー・グラウバマンによる奇数位数の群の可解性の別証明および鈴木通夫氏の素数グラフに関する研究のアイデアを用いた。今後の課題としてより一般の奇数位数極大部分群の構造の考察が残されているがここで得られた方法をさらに発展させることで得られるのではないかと期待できる。 2.9次対称群から2つの3^3型の置換を位数9の基本可換群Hを生成するように取る。この2つの元から3×3のマスを構成するとHに固定点なしに作用する2^4型の元が3×3のマスから簡単に見て取れる。Hとこの2^4型の元はフロベニウス群3^2:2を生成する。マスの左上の4つの数字の回転、および9と10,11,12の入れ替えを用いてさらに3つのマスを作りそれぞれフロベニウス群を考えると、4つのフロベニウス群のうち任意の2つのフロベニウス群から生成された群は単純群PSL_2(9)、任意の3つで生成された群は散在型単純群M_<11>、4つで生成された群は散在型単純群M_<12>となることを示した。HはPSL_2(9)およびM_<11>の奇数位数のTI部分群である。この結果は現在雑誌に投稿中である。S_3,D_8,Q_8といった基本的な群が証明に重要な役割を果たす。単純性の証明には原始置換群の性質を用いた。具体的な計算をする上でGAP、MAGMAなどの計算ソフトをパソコン上で使用した。
|