研究概要 |
L関数への応用に関しては,類数1の虚2次体KのヘッケL関数のs=0での値に関するBloch-加藤予想への応用のこれまでの研究を完成させた.この予想はcriticalとnon-criticalな場合に分けられる.ciriticalな場合はpがKで分裂しない困難な場合を重さ-3以下の一般の指標で,non-criticalな場合は,pがKで分裂し,infinite typeが(-k,1)(k【greater than or equal】2)の指標の場合に(坂内健一(名古屋大学)の複素側の計算ときちんとつなぐ作業を残して),Bloch-加藤予想の証明を完成した.今年度5月ドイツ・レーゲンスブルクでの数論幾何学の国際会議で,この研究成果の一部を発表した.non-criticalで一般の指標の場合も主研究テーマであったが,p進楕円ポリログの完全な決定が難しく,今後の問題として残った.p進Hodge理論に関しては,G.Faltingsのalmost etale理論について5月,6月にパリ南大学においてL.Illusie, J.-M.Fontaine, O.Gabber, L.Rameroを中心にセミナーを行った.almost etale理論はG.Faltingsのp進Hodge理論の研究の核心部であり,最近論文も出版されたが,省略が極めて多く難解である.本セミナーでは,p進Hodge理論への応用で鍵となる定理「p進整数環上のsemi-stable reductionを持つaffine schemeの一般ファイバー上不分岐な被覆の分岐は(ある種の)座標のp羃根を付け加えればほとんど消せる」の証明をgood reductionの場合に精密に完成させることに成功した.この定理は,大域的なp進コホモロジーへの応用のみならず,局所的にp進ガロア・コホモロジーやp進消滅サイクルとド・ラム複体を比較することへ応用できることが,私自身の研究により明らかになっていた.またポリログ層のp進実現に関するこれまでの研究と関連して,志甫による基本群に関するp進Hodge理論のTannaka圏的意味について研究し,比較定理の証明の別のアプローチを見い出した.
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