研究概要 |
本年度は,組合せ凸関数の理論を構築するとともに,様々な組合せ最適化問題に対して非線形計画アプローチを用いた効率的なアルゴリズムを提案することを目指した. 1.組合せ凸関数の理論において中心的な役割を果たすのがM凸関数という概念であるが,組合せ凸関数理論に基づく効率的な解法の基礎として,M凸関数最小化に対する高速算法の構築が必須となる.本年度はM凸関数最小化およびその特殊ケースに対する高速算法を提案し,下記の論文にまとめた. A.Shioura : Fast Scaling Algorithms for M-convex Function Minimization with Application to the Resource Allocation Problem, S.Moriguchi, A.Shioura : On Hochbaum's Scaling Algorithm for the General Resource Allocation Problem 2.これまで組合せ凸関数の概念は主に整数格子点上で定義された関数を対象としていたが,組合せ最適化問題の中には実変数に関する問題が少なくない.この事実を踏まえて,組合せ凸関数の概念を実数空間上の関数へと拡張し,その関数に関する様々な性質を導いた.この結果は下記の論文にまとめられている. K.Murota, A.Shioura : M-convex and L-convex Functions over the Real Space : Two Conjugate Classes of Combinatorial Convex Functions 3.組合せ凸関数の理論を利用して一般の組合せ最適化問題を解くためには,その問題の部分的な構造からM凸性,L凸性のような良い構造を見出すことが必要である.本年度は,最小費用流問題という,組合せ最適化においては基本的な問題からM凸性,L凸性が生じることがわかり,下記の論文にまとめた. K.Murota, A.Shioura : Substitutes and Complements in Network Flows Viewed as Discrete Convexity
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