研究概要 |
電子が輻射場と結合したシュレディンガー作用素のスペクトル解析をおこなった. 当初の目的は以下の(1)〜(4)であった. (1)紫外・赤外両切断を除いたハミルトニアンの基底状態の存在を示す. (2)PF(Pauli-Fierz)ハミルトニアンの基底状態のソフト光子数の局所性を示す. (3)PFハミルトニアンの解析に付随する(ア)2重確率積分(イ)シンプレクティック群の考察 (4)フェルミ統計をもった多粒子系のモデルの基底状態の縮退の考察 これらの目的に対する実績は以下である. (1)Nelson模型において両切断を除いたハミルトニアンに対し基底状態の存在を示し、さらにある局所性を示した. (2)指数型減衰を示すことは出来なかったが多項式型減衰は示すことができた. (3)シンプレクティック群を応用し、PFハミルトニアンのスケーリング極限を考察し、実効質量、実効ポテンシャルを一般的な形で求めた. (4)1粒子系ではあるがスピンをもったハミルトニアンの基底状態の縮退を示した. これらの成果は8/6〜11の九大での国際研究集会,9月の京大理数研での研究集会,7月の金沢大での談話会,12月の岡山大での研究集会で口頭発表した.また12月に北大でのセミナーでも口頭発表した. (1)はH.Spohn(ミュンヘン工大)廣川貞男氏(岡山大)と共同で論文とし現在投稿中である. (2)は単著でやはり国際誌へ投稿中でる.(3)は私以外他4名と共著,(4)はH.Spohnと共著で各々国際誌へ掲載された.
|