研究課題/領域番号 |
13740129
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
和南城 伸也 上智大学, 理工学部, 助手 (30327879)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 超新星 / 元素合成 / 宇宙年代学 / 核反応 / 中性子 / 重元素 / 放射性元素 / 金属欠乏星 / 原子核 / 一般相対論 / 宇宙年齢 |
研究概要 |
1.太陽質量の9倍の星の重力崩壊および超新星爆発の数値流体シミュレーションを行った。太陽質量の8〜10倍の星は、進化の最終段階で中心に酸素・ネオン・マグネシウムのコアを形成した段階で重力崩壊を始めるので、より大質量の星に見られる鉄のコアの光分解によるエネルギー損失がないこと、そして、重力ポテンシャルが比較的浅いことにより、爆発を起こしやすいと考えられている。我々は、陰的解法による一次元数値流体コードを開発し、この星が流体力学的なコアバウンスによって爆発しうることを明らかにした。 2.太陽質量の9倍の星の超新星爆発によるr過程元素合成の計算を行った。r過程元素(速い中性子捕獲反応により作られた元素。鉄より重い元素の約半分。金、銀、プラチナ、ウランなど)の起源は未だに明らかにされていないが、上述の超新星爆発では多量の中性子過剰物質が放出されるため、r過程が実現する。我々は、中性子、陽子からプルトニウムまでの約3600個の核種を含む原子核反応ネットワークコードを開発し、この超新星爆発におけるr過程元素合成の数値計算を行った。その結果は太陽系のr過程元素組成比を非常によく再現することより、太陽質量の8〜10倍の星の超新星爆発は、r過程元素の主要な起源である可能性が高いことを明らかにした。 3.宇宙年齢の下限値の推定を行った。r過程元素合成の計算により得られた長寿命放射性元素ウラン、トリウムの値と、銀河系で最も古い星の一つである超金属欠乏星に観測されるそれらの値を比較することにより、その星の年齢を推定することができる。この星は宇宙ができてからすぐに生まれたと考えられるので、ほぼ宇宙年齢に等しい(正確には下限値)と考えられる。我々の結果による宇宙年齢の下限値は141±24億年であり、現在最も信頼性の高い宇宙背景放射の観測による値(137±2億年)とほぼ合致することを示した。
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