研究課題/領域番号 |
13740184
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
岩田 真 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (40262886)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | リラクサー / 強誘電体 / 構造相転移 / ヘテロ構造 / 酸化物 / AFM / 高誘電率 / ドメイン / ラマン散乱 |
研究概要 |
ペロブスカイト酸化物強誘電体には、強誘電性、強弾性のドメインウォール構造が存在する。それらの中で、濃度相境界近傍及びリラクサー強誘電体におけるドメインウォール構造は非常に複雑であることが報告されており、更に、このような系では、ドメインウォール構造やその運動が誘電特性や相転移現象に影響している可能性も指摘されている。このことを明らかにするために我々は、リラクサー強誘電体Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-PbTiO_3(PZN-PT)混晶系におけるドメインウォール構造の観察を行っている。ここでPZNは、約140℃で誘電率のブロードなピークを示す典型的なリラクサー強誘電体であり、PTは490℃で正方晶相へ転移する強誘電体である。このPZN-PT混晶系では、PTの濃度10mol%近傍に菱面体晶相と正方晶相の濃度相境界が存在する。既に我々は、ドメインウォール構造の観察結果を基に濃度相境界に近いPZN-8%PTでは厚さ30mm程度の薄片で正方晶相から菱面体晶相へのシャープな転移が観測できることを報告し、ドメインウォール構造と誘電特性の関係を議論している。本研究の目的は、典型的な強誘電体から濃度相境界を経てリラクサー至る濃度の変化によってドメインウォール構造がどのように変遷するかをAFMを用いて明らかにすることである。本研究では、PZN-xPT混晶の単結晶板薄片のエッチング表面を走査プローブ顕微鏡(SPM)を用いて観察することにより、明瞭なドメインウォール構造を可視化することができた。 PT濃度8mol%以下の全ての組成で、フィンガープリントパターンと呼ばれているドメイン構造が観察されることがわかった。これらの組成の物質における強誘電性ドメインの特徴的なサイズはおよそ1mmでり、PT濃度8mol%以下の組成では強誘電性ドメインのパターンに大きな組成依存性が無いことがわかった。一方、本研究においてPT濃度8mol%以上の試料で強弾性ドメインが存在しそれ以下では強誘電性ドメインだけが観察されることがわかった。
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