研究概要 |
強相関d波超伝導体La_<2-x>Sr_xCuO_4とCeCu_2Si_2において、磁性と超伝導の境界領域の物性を微視的probeを使って調べた。交付期間中の実験により以下の結果を得ることが出来、論文に掲載された(LSCOについては投稿準備中)。 "低濃度La_<2-x>Sr_xCuO_4(LSCO)(x<0.05)における、磁気秩序領域と非磁性領域の共存" LSCO系高温超伝導体の母物質La_2CuO_4は、240Kで反強磁性秩序を起こす絶縁体であるが、ホールを僅か2%ドープするだけで長距離反強磁性秩序は壊され、低温でスピングラス的に秩序することが知られている。僅かなホールドープによって如何に磁気秩序は壊されるのか?またその磁気状態はどのような状態なのか等、基本的な問題であるが未解決な点は多い。今回Sr低濃度域の単結晶(Sr濃度1%、1.8%)を用いて、内部磁場の様子をLa核四重極共鳴法(NQR)から調べた。その結果1.8%の試料において均一な内部磁場を持った磁気領域と、非磁性領域のミクロな相分離状態が実現していることが分かった。この相分離は1%の試料では見られなかった。相図では同じ3次元磁気相であるが、1から1.8%の間に相分離が起こる特徴的な濃度が存在することがわかった。本実験結果は現在投稿準備中である。 "重い電子超伝導体CeCu_2Si_2におけるGeドープ、加圧における磁性と超伝導の移り変わり" 常圧下で磁性と超伝導の微妙なバランスに位置するCeCu2Si2において、加圧により超伝導性が高められること、Ge置換により静的な磁気秩序が誘起されること、またこの磁気秩序は僅かな加圧によって抑えられ、超伝導性がよみがえること、さらに1-2%の領域では磁性と超伝導は新奇な状態で共存すること、などを明らかにした。今まで行ってきた研究をまとめて論文に発表した。(Y.Kawasaki, K.Ishida et al. PRB66,224502(2002),and Y.Kawasaki, K.Ishida et al., PRB63,140501(2001))
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