研究概要 |
カーボンナノチューブは曲げや引張りに強く,大きな変形を加えてもなかなか破断しない。本研究ではより一般的な弾性チューブに対して,その基板吸着による大変形を計算機シミュレーションを用いて調べ,物理量のスケーリング解析を行った。モデルとして,以下の3つのエネルギーを考えた。まず各粒子と基板の間には長距離的なファン・デル・クールス相互作用及び近距離的な排除体積相互作用が働いているとする。そのために変形されたレナード・ジョンズ型ポテンシャルを用いた。次に,粒子間をつなぐボンドを自然長を持つバネであるとする。最後に曲率エネルギーも含める。これらのエネルギーの和が最小になるように共役勾配法を用いて計算した。その結果,チューブが変形を受けない場合,曲げエネルギーは曲げ定数に比例する。チューブが大変形を受ける場合,曲げエネルギーは曲げ定数の0.75乗に比例する。この2つの間に,クロスオーバー領域が存在することがわかった。また,全エネルギーをCb/N^2に対してプロットするとサイズ効果がなくなることが判明した。
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