大気中で粉体を自由落下させることにより小惑星表面を模擬した粉体層を作った。作成した粉体層の空隙率や表面粗さを測定し、特に、空隙率と表面粗さの定量的な関係を求めた。 粉体試料は、フライアッシュ(典型的直径が2μmの粒子)、グラファイト(45μm以下)、鉄(6μm以下)である。これらを目開き45〜90μmのふるいをもちいて、高さ10cm程度の位置から、2cm四方・深さ6mmの容器の中に堆積するように自由落下させた。落下速度は、グラファイト粒子について高速度ビデオを用いて125コマ毎秒の撮影を行い求めた。それによればふるい下13cmで37cm毎秒程度であった。直径1km以上の小惑星表面からの脱出速度よりは小さいので、惑星間塵の衝突などで小惑星表面にできたクレーターから放出された塵が表面にふたたび降り積もるときの速度として現実的数値となっていることが確かめられた。 作成した粉体層の空隙率は、質量を測定し、また、粉自体の密度を用いることにより求めた。鉄粒子層の空隙率は73%、フライアッシュとグラファイトでは86〜89%であった。また、表面粗さは、それぞれの粉体層について以下のように値付けを行った。まず、レーザー共焦点粗さ計により、水平方向に1μm間隔で表面の高さを測定した。次に、1μm四方のそれぞれの平面素について、その法線ベクトルの方向と鉛直方向のなす角を求めた。この角度の平均値をもって、それぞれの表面の「粗さ」を表すこととした。鉄粒子層で61°、フライアッシュとグラファイトでは約70°となり、空隙率が大きいほど粗さの大きい表面ができることもわかった。
|