研究課題/領域番号 |
13740282
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
磯辺 篤彦 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (00281189)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 黄海・東シナ海 / 淡水収支 / 黒潮前線波動 / 低塩分水塊の中層貫入 / 傾圧不安定 / 東シナ海の淡水収支 / 低塩分水のサブダクション |
研究概要 |
黄海・東シナ海に中国大陸から供給される淡水(Changjiang[揚子江]起源が90%以上を占める)の、同海域における収支を海洋観測によって明らかにするとともに、そのうち黒潮側へと抜けてゆく分について、輸送過程を考察した。 本研究の成果によれば、主にはChangjiangから供給される淡水の、約70%程度は対馬海峡を通り日本海へと流入してゆく。しかし、30%(あるいはそれ以下)の淡水は黒潮へと運ばれていく。黒潮へ運ばれてゆく量は少ないが、黒潮前線周辺に見られる低塩分水塊(黒潮中層へ貫入した状況で観測されることが多い)周辺では、クロロフィルの極大が見られることも多く、この海域への栄養塩ソースとして無視できないと考えられる。本研究では、黒潮前線波動と低塩分水塊の中層貫入との関連に着目し、海洋観測や数値モデリングを行うことで、これを明らかにした。 黒潮前線波動が成長していく過程で、その谷(陸棚水が黒潮側へ張り出している領域)で低塩分水塊の中層貫入が見られることが、観測から明らかになった。同様の過程は数値モデリングで再現した前線波動周辺にも見受けられる。波長100-200kmの前線波動の全容を観測で捉えることはできないが、数値モデリングの再現結果を調べることで、低塩分水の中層貫入をもたらす要因について考察した。前線波動は主には傾圧不安定で成長しており、上下層間で位相のずれが生じる。下層の水塊の岸沖方向変位は、上層のそれに比べ若干黒潮上流側へと遅れている。これによって、谷の部分で下層の陸棚水が上層のそれに比べて沖側に張り出す部分が形成され、これが低塩分水の中層貫入として観測されることがわかった。すなわち東シナ海陸棚縁辺域でしばしば観測される低塩分水塊の中層貫入は、傾圧不安定波としての黒潮前線波動が持つ基本的な構造によって形成される。
|