研究概要 |
平成13年度の研究成果概略 筑波花崗岩・常陸北条において,三次元写真測量・フラクトグラフィ(破断面解析)・顕微鏡観察を用いて,露頭規模の割れ目解析を行った.そして割れ目系の時系列をある程度解明することができた(NS系節理の形成→EW系節理の形成→NS系・EW系節理の剪断とNE系節理の形成>.この成果は深田地質研究所年報2002に報告した. 同様の解析を筑波花崗岩・きのこ山において行うが,元来均質な花崗岩中の複雑な割れ目系を詳細に解析することは困難であると判明する. 平成14年度は那珂湊層群の砂岩中の割れ目解析を行った.砂岩は花崗岩と同じく珪長質岩石であるが,初生構造として層理面構造を持つ. 那珂湊海岸の3つの砂岩露頭を対象に,以下の解析を行った.(1)三次元写真測量用に立体写真の撮影と標定点測量を行う.(2)解析図化機MPS-2と処理ソフトを用いて砂岩露頭の数値地形モデルを作成し,割れ目の境界をトレースする.(3)露頭において割れ目の詳細な観察を行い(フラクトグラフィ),節理と小断層を厳密に区別した. そして以下の結果が得られた.(1)研究を行った周辺では,4つの小断層群を確認できる.(2)多くの節理は小断層をまたいで連続しない.(3)節理系は小断層を境界としてその発達傾向が異なる.(4)節理が断層でずらされた証拠はない. 以上の結果から,小断層系が先に形成され,これが境界条件となって主な節理系が形成されるという時系列関係を明らかにすることができた. 上記成果を2002年応用地質学会学術大会で発表した.
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