研究課題/領域番号 |
13740335
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
吉田 亨次 福岡大学, 理学部, 助手 (00309890)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | タンパク質のフォールディング / 溶媒効果 / アルコール-水二成分溶液 / X線・中性子散乱 / 液体構造 / RISM / 分子動力学法 |
研究概要 |
溶液中でのタンパク質のフォールディング機構を分子論的に解明するために、水/アルコール混合溶媒中においてモデルタンパク質の変性実験を行い、さらに溶媒の液体構造を中性子散乱実験ならびに理論計算によって明らかにした。F-moc固相合成法により、モデルタンパク質であるFSD-1(28残基)を合成し、エタノール/水、トリフルオロエタノール/水に溶解し円偏光二色性スペクトルを測定した。そして二次構造解析を行い、特定のアルコール濃度でタンパク質の立体構造が変化することを見出した。次にこれら溶媒の液体構造を明かにするために中性子散乱法、RISM積分方程式理論、および分子動力学シミュレーションの手法を用いて、溶媒を構成する原子間の動径分布関数を求めた。その結果、アルコールの濃度が変化すると液体構造が大きく変化することが示された。つまり、水の濃度が高い領域では、水の正四面体類似ネットワークが発達し、アルコールの疎水基は水のつくるネットワークに取り囲まれ、複数のアルコール分子が集合している。一方、アルコールの濃度が高い領域では、水素結合で結ばれた鎖構造が支配的である。そして、この構造変化が起こるアルコールの濃度は前述のタンパク質の構造変化が起こる濃度とほぼ一致していた。このことから、タンパク質の立体構造安定性には溶媒である水の正四面体類似構造が不可欠であると結論できる。さらにFSD-1の一部(10残基)とエタノール/金剛溶媒系について一般化アンサンブル法による分子動力学シミュレーションを行い、タンパク質の残基を構成する各原子と溶媒分子の相互作用を明らかにし、ミクロスコピックなフォールディング機構を解明した。
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