研究概要 |
昨年度報告した微細金ナノ粒子の固相熱処理による粒径制御に関して、有機配位子をドデカンチオールからオクタデカンチオールに変えることで、粒径制御範囲を3.4〜9.7nmまで広げることができた。熱処理による粒子の成長は、金の融点効果理論で整理することができ、粒子の合体・成長に必要な粒子表面の融解温度は、粒子自身のそれの半分以下であると結論付けられた。次に、ドデカンチオール保護金ナノ粒子(粒径5.4nm)をLB法にて単層薄膜化し、GaAs上に作製した500nmギャップ金電極間に転写することにより、単層膜内の電子輸送特性を検討した。4.2Kにおいては電子のふるまいはクーロンブロッケードに支配されるが、室温ではオーミックなI-V応答となり、室温でクーロンブロッケード現象を発現するには、粒径2nm以下の微細なナノ粒子が必要であることが分かった。現在、1.5nm金ナノ粒子二次元超格子の大表面積化に成功しており、その電子輸送特性の粒径、粒子間距離依存性を検討中である。 ナノ粒子二次元超格子の電子輸送特性は、超格子の対称性にも大きく依存すると考えられるため、次に、金ナノ粒子低対称性二次元超格子の創製について検討した。二回対称である平面一次元鎖列については、昨年度までに、ナノスケール山谷構造炭素基板に3.4nm金ナノ粒子溶液を滴下することなどにより達成された。さらに、基板へのナノ粒子溶液の滴下およぴ真空下(〜10^<-3>torr)での熱処理(300-℃)を繰り返すことにより、ナノ粒子は谷方向に選択的に合体・成長し、アスペクト比2程度の金ナノロッド列の作製に成功した。一方、塩基性配位子であるbis-4,4'-(4,4'-dithiobutylbenzyl)-N,N,N',N'-tetraetyl amineを合成し、金ナノ粒子の保護配位子として用いたところ、2.4nmの超単分散金ナノ粒子が得られた。これに1,3,5-ベンゼントリカルボン酸あるいは酢酸を添加し中和後、親水性基板に水溶液として展開することにより、三回対称疑似ハニカムあるいは四回対称正方晶二次元超格子を形成させることに成功した。
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