研究概要 |
自発分極や粘性の異なる数種の強誘電性液晶に光導電性化合物と電荷捕捉剤をドープした試料のBragg回折条件下での2光波結合利得定数を測定した(488nm Ar^+レーザー).強誘電性液晶に,光導電性化合物CDHを1wt%,電荷発生剤TNFを0.1wt%ドープし,セル厚10μmのITO電極付きガラスセルに注入したものを測定用サンプルとした.フォトリフラクティブ効果の評価は,2光波結合法によって行った.Ar^+レーザーの光をビームスプリッターで2つに分け,試料中で干渉させた.そして,それぞれの光が試料を透過する強度を測定した.試料が強誘電相を示す温度に保ち,0.1V/μmの電界を印加して測定を行った.レーザー光をサンプル中で干渉させると,片方の透過光強度が増大し,もう一方の透過光強度は減少した.ノイズにまで対称的な応答が見られ,2光波結合が生じていることが分かる.自発分極値や相転移温度の異なる数種類の強誘電性液晶で同様の測定を行ってみると,いずれの液晶でもフォトリフラクティブ効果は試料が強誘電性を示す温度範囲でのみ見られた.このことから,強誘電性液晶でのフォトリフラクティブ効果は個々の分子の双極子モーメントではなく,バルクの自発分極が内部電界に応答して生じていることがわかる. 応答時間の測定を行うと数ms〜数十msの応答が得られ,既存の有機フォトリフラクティブ材料に比べて一桁以上速い応答が得られることがわかった.この応答時間は強誘電性液晶の電界応答特性によって決定されるため,より高速な強誘電性液晶を用いれば応答時間はさらに短縮される.
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