研究課題/領域番号 |
13740409
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | (財)神奈川科学技術アカデミー |
研究代表者 |
上塚 洋 (財)神奈川科学技術アカデミー, 極限表面反応プロジェクト, 研究員 (90321900)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 走査型トンネル顕微鏡 / TiO_2(110) / 連続撮像法 / ギ酸イオン-酢酸分子交換反応 / ナノ構造作成 / その場観察 / 分子認識 / 反応中間体 |
研究概要 |
STM連続撮像法を用いてTiO_2(110)面上で進行するぎ酸イオン-気相酢酸交換反応のその場観察を行ったところ、ぎ酸イオンと共吸着している酢酸イオンが1次元的に配列することを見出した。自己組織化膜に見られるような表面吸着種の配列では、表面温度や被覆率、基盤の種類によって構造は一義的に決定され、その制御は不可能に近い。一方、触媒化学の分野では気相分子によって反応経路や生成物が異なる例は多数報告されている。本研究ではこれにヒントを得た。さらに、気相分子をぎ酸に変えることによって酢酸イオン鎖の方向を制御することにも成功した。このような気相分子との相互作用を利用した系はこれまで余り研究されておらず、本研究は、表面に自己組織化的ナノ構造を作成する場合、気相分子と表面吸着種との相互作用を使用することが有効であることを示したものである。 酢酸イオンが自己組織化的に1次元鎖を作るメカニズムは以下のように解明した。気相分子存在中でのその場観察条件下では2種類の交換反応が進行している。(1)化学吸着分子と気相分子との交換反応:190K〜、(2)表面化学吸着分子同士のサイト交換反応:280K〜。反応(1)は表面吸着種の組成を変化させるイベントで、この詳細なメカニズムは前年度の本研究で明らかにしたように、気相から飛来した分子と表面化学吸着種との間で2分子的な反応中間体を経て進行する。一方、反応(2)は表面化学吸着種の配列を変えるイベントである。反応(1)の2分子反応中間体は必ず隣接した位置に2分子の化学吸着種を生成する。そこで、反応(1)のみ進行する条件(〜200K)で観察を行ったところ、17個の酢酸イオン(長さ約10nm)を1次元的に配列させることに成功した。したがって、反応(1)が進行する際に、気相から飛来する酢酸分子は化学吸着している酢酸イオンを分子認識していることが明らかである。
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