研究課題/領域番号 |
13740473
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物形態・構造
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高野 博嘉 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70242104)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 葉緑体 / 葉緑体分裂 / コケ植物 / 変異体ライブラリー / 光合成 |
研究概要 |
本研究の目的は、コケ植物より葉緑体分裂異常ラインをスクリーニングすることにより、葉緑体分裂に関する新規遺伝子群を明らかにすることにある。基生研の長谷部教授より分与されたヒメツリガネゴケのタグ付き突然変異体ライブラリーを用い、細胞中の葉緑体数が正常型と異なるラインの単離を行った。6600ラインのプロトネマ細胞について顕微鏡観察によりスクリーニングを行い、変異した11ラインを単離した。通常の培養条件下で、野生型のプロトネマ細胞は約50個の葉緑体を持つ。6ラインにおいては細胞当りの葉緑体数が有意に増大しており、野生型の約1.5倍であった。変異ラインの間で葉緑体数に有意差はなかった。一方、細胞体積では野生型の1.4倍から3.2倍の変化があった。このことは、細胞当りの葉緑体数は細胞体積とリンクしておらず、一定の上限があることを示唆している。細胞当りの葉緑体数が減少する変異ラインは4つ単離された。葉緑体数は、0.7倍のものが1ライン、半数のもの2ライン、1/5の約10個しか持たないもの1ラインが得られた。これらの細胞の葉緑体は野生型の葉緑体より肥大しており、分裂阻害が生じていることが示唆された。葉緑体数が0.7倍のラインでは細胞体積は1.9倍に、半数のもののうち1ラインでは1.3倍の増加が観察された。また、プロトネマ細胞では葉緑体の増加が観察されないのにもかかわらず、茎葉体の細胞では有意に細胞当りの葉緑体数が増加している1ラインも単離できた。このことは、プロトネマと茎葉体で葉緑体数の制御機構に違いがあることを示唆している。タグの挿入数を検討するために、ゲノミックサザン解析を行い、1ヶ所のみに挿入されているものから10個以上挿入されているものまで、様々なラインがあることが明らかとなった。今後これらの変異ラインの原因遺伝子の単離を行うことにより、葉緑体の増殖制御機構が明らかになると予想される。
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