研究概要 |
ネアンデルタール的特徴として注目される肩甲骨、骨盤の形態におけるCTスキャンによる内部構造の形態比較を目的としている。今回の研究では3次元座標軸の位置決めから対象とする計測部位の決定、緻密質、海綿質構造の何を計測し、どのように定量化すべきか、あるいは可能かといった方法的な問題の解決を第一に目指した。 東大博物館所蔵の現代人寛骨を用いて、データ収集方法について検討をおこなった。 ・CT装置は東大博物館に平成12年度に納入されたmicroCTを使用した。撮影方法、拡大率、X線の強度、照射時間等のパラメータ設定について検討した結果、以下のようにほぼ決定できた。 1.恥骨結合面を基準面として水平に設置し、CT画像をこれと平行に撮影できるようにセッティングした。 2.拡大率はできるだけ線源に近い方が解像度が上がるが、寛骨の大きさによる物理的な理由により270mmとした。 3.X線強度は一定の130kv, 80μAに、照射時間は撮影時間との兼ね合いで2分と3分の2通りのものを選択した。 ・座標軸の設定:CT画像データをCT Rugleにインポートした後に恥骨結合面の外形を二値化してとりだし、2次モーメントの主軸方向をY軸として設定した。 形態特徴値抽出プロセスの確立 ・コンピュータ上に取り込まれたCTデータは、3次元での表示が可能であるが、実際の形態分析時には2次元平面での分析が現実的であると思われる。恥骨上肢の長さに対してパーセント点を決め、それぞれの断面で特徴を抽出することとした。 ・骨の内部構造形態の特徴値としては、緻密質の厚さ分布、海綿質の密度、小柱の方向性について計測パラメーターを設定した。次のステップとして現代人における変異の分析をおこない、それによってはさらに計測パラメータの吟味が必要となる。
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