研究概要 |
ホウ素添加したGaNおよびその混晶系材料は6H-SiC基板上に格子整合をとることが可能であると予測されており,微小共振器製作上,発光層中の残留歪み低減に効果があると報告した.本年度は,BAlGaN系微小共振器の検討を行った.従来の半導体反射鏡構造を利用した微小共振器の研究開発は有機金属気相成長法によるホウ素を含む窒化物材料の結晶成長技術の研究と平行し,ガラス基板上に微小共振器形成する技術検討も行った.この点について大きな進展があったので報告する. 共振器反射鏡形成には大きな屈折率差があり,かつ紫外光に対して透明である材料系が要求される.これまでに酸化物であるSiO_2,TiO_2もしくはZrO_2が用いられてきた.これらの多層膜反射鏡は少ない層数で高い反射率の実現が可能である.しかしながらこれら,誘電体薄膜上にエピタキシャル成長は困難である.そこで,ガラス基板上にGaN薄膜材料を結晶構造にこだわらず形成し,発光素子の形成を通して微小共振器形成の可能性を検討した. Cr金属電極を形成したSiO_2上に非晶質GaNを堆積させ,エレクトロルミネッセンス素子(ELDs)を製作し,300μm程度の上部電極を形成している.交流駆動により青紫の発光が目視された.また,スペクトルは紫外発光成分を有しガラス基板上にGaN系材料を堆積する手法も有効であることが確認された.この方法をBAlN高抵抗層を6H-SiCに格子整合して形成し,上部に誘電体薄膜を利用すれば,より高効率の発光デバイス形成が可能であるとの感触を得た. 本研究結果より,交流駆動型新規微小共振器構造のアイデアとともにその基礎検討結果を示すことができた.この結果は,将来大面積微小共振器アレイ構造へ発展する可能性を示している.
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