研究概要 |
強磁性金属合金の中でも(Fe-Co)系合金材料は古くから実用材料として非常に多くの分野で応用されている。Co-Pt系の合金は、大きな磁気異方性Ku及び飽和磁化Msを有することで知られており、そのため、磁気記録材料、永久磁石材料等として広く使われている。最近、Fe-Co-Pt合金薄膜や(Co-Fe)とPtの多層膜は、その非常に大きな磁気異方性及び大きな飽和磁化、そして大きな光-磁気特性を有することから、記録材料として注目を浴び、精力的な研究開発が行われている。CO_<75>Pt_<25>合金薄膜は規則構造(L1_2構造)をとった場合、非常に大きな磁気異方性定数Ku(10^7erg/cc台)の値が報告されている^<(1,2)>。しかしながら、(FeCo-Ni)_<75>Pt_<25>四元系合金薄膜の磁気特性、についての研究は全くなされていない。またKuと膜構造との間の関係についても、今だ不明な点が多い。そこで本研究は(CoNi)_<75>Pt_<25>合金薄膜を対象としてその組成及び作製条件を系統的に変化させ、垂直磁気異方性と規則度Sとの関係を明らかにすることにより、磁気異方性のメカニズムに関する知見を得ることを目的としている。300℃〜450℃で成膜した(CoNi)_<75>Pt_<25>合金では、部分的にL1_2構造が見られる。(CoNi)_<75>Pt_<25>合金薄膜のKuとSとの間には密接な関係があり、全ての組成において、Sの上昇に伴いKuの値は大きくなった。Ni_<75>Pt_<25>合金薄膜のK_uはS=0.3で8x10^5erg/cc,(NiCo)_<75>Pt_<25>合金薄膜のK_uはS=0.5で4x10^6erg/cc,Co_<75>Pt_<25>合金薄膜のKuはS=0.7で2x10^7erg/ccである^<(1,2)>。磁化容易軸は300℃から450℃では垂直に向いている。 [1]Y.Yamada, T.Suzuki, and E.N.Abarra, I.E.E.E. Trans.Mag. 33, 3638(1997). [2]Y.Yamada, T.Suzuki, G.Lauhoff and K.Kanazawa, I.E.E.E. Trans.Mag. 35(5) 2988(1999).
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