研究概要 |
本研究で用いた逆相ミセル法は、界面活性剤を有機溶媒に溶解し、微量の水を添加・分散させることによって、極性基を内側に向けた逆相ミセルを形成し、その内部水相を微小反応場として超微粒子を析出させる方法である。反応場のサイズ(ミセルの大きさ)を、水の添加量と界面活性剤の濃度の比(w=[界面活性剤]/[H_2O])でコントロールすることが可能であり、ミセルサイズはwに比例して大きくなる。逆相ミセルの構造についての知見を得ることは、内部水相内で起こる核生成、結晶生成のプロセスを知ることにつながる。これらは、最終的に得られる超微粒子の物性に大きく関わることから、ミセル構造を解析することは重要である。前年度は、内部水相にAgI超微粒子を内包したw=8の逆相ミセル(溶媒:トルエン-d_8)に関して、温度とミセルの構造の関係を検討した。さらに今年度は、溶媒として、微極性のトルエン(-d_8)に加えて無極性のヘプタン(-d_<16>)を用いた場合に関して、wを変化させて(w=2,4,8,16)中性子小角散乱の測定を行った。その結果、wの値はQ vs. I(Q)カーブの形に影響を与え、wの減少とともにhigh Q側にシフトした。さらに、溶媒にヘプタンを用いて測定を行った場合のカーブの形は、トルエンに関して測定を起こった場合のカーブの形と明らかに異なっており、溶媒の極性がミセルの構造に影響を与えていることがわかった。データの解析の結果、微極性のトルエンを用いたときよりも、無極性のヘプタンをを用いた場合のほうが、ミセルサイズが小さくなり、したがって得られる超微粒子のサイズも小さくなることがわかった。さらに上記の試料の一部に関して、中性子小角散乱測定用の試料と同一バッチでTEM観察用試料を調製し、溶媒の違い及びwの値と粒子径分布の関係を調べた結果、中性子小角散乱の結果を裏付ける結果を得た。
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