研究概要 |
本研究では、これまでの低速電子線回折法(LEED)、走査トンネル顕微鏡(STM)、ラザフォード後方散乱法(RBS)に加えて同軸型直衝突イオン散乱分光法(CAICISS)や分解光電子分光法(PES)を組み合わせることにより、低次元原子構造が作製されたことが示唆されているSi(111)2√<7>×3-(Pb,Sn)表面および√<7>×√<3>-(Pb,Sn)表面の原子配列、局所的電子状態、エネルギー分散曲線等を明らかにした。 2√<7>×3-(Pb,Sn)表面については、2°程度微傾斜したSi(111)表面を使うことにより、シングルドメインの2√<7>×3-(Pb,Sn)表面を作製し、角度分解光電子分光法(ARPES)によりフェルミレベル付近の電子状態エネルギー分散曲線を明らかにした。さらに、STM像のバイアス依存性の測定を行うことにより、STM像の輝点や輝線とARPES法により求めた表面電子状態の対応関係を明らかにした。 √<7>×√<3>-(Pb,Sn)表面については、STM像のバイアス依存性を明らかにした。CAICISS測定では、√<7>×√<3>-(Pb,Sn)表面の鉛、すず、シリコンの散乱強度の入射角依存性や方位角依存性を種々の方位角、入射角で測定し、吸着原子の原子間距離や原子配列の異方性を明らかにした。さらに、PES法を用いて、鉛およびすずの吸着サイト数を明らかにした。以上より、√<7>×√<3>-(Pb,Sn)表面の鉛およびすずの原子配列を結合状態を明らかにした。
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