研究概要 |
初年度に試作した局在型表面プラズモン顕微鏡の性能試験を行った.ダイナミックレンジ拡大については,初年度に確認しているので,主に,水雰囲気中のラテックス球を観察することにより空間分解能に関する特性を調べた.様々な実験を行った結果,最終的に,金表面に吸着した直径500nmのラテックス球の観察に成功し,励起波長632.8nmにおいて,500nm以下の光学的な空間分解能を確認した.この実験においては,実験手順を簡略化し,実験を効率化することを目的として,光学系にさまざまな改良を加えた.たとえば,光学系に,光路切り替えを行うフリッパーミラーを導入し,顕微鏡対物レンズ焦点面の観察と射出瞳の観察を,光学系の組み替え無しに,瞬時に切り替えられるように変更した.また,金属表面を試料側から観察するための,反射型明視野顕微鏡を外部光学系として導入し,試料走査前に金属表面を観察することを可能にした.このとき,試料の配置状況を多角的に検討するために,反射型明視野顕微鏡では蛍光情報を取得できるように工夫した.さらに,前年度開発した2次元空間スペクトルデータ処理を適用するための専用PCを新規に導入し,データ取得とデータ解析を並行して進められるようにした. 性能の検証に続き,生化学反応を行うための基板として多用される,リボソームLB膜を製作し,それを試作した局在型表面プラズモン顕微鏡で観察できることを確認した.
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