研究概要 |
本研究では,皮膚の酸素飽和率分布をリアルタイムでモニタリングするシステムを開発した.様々な刺激と酸素飽和率分布の関係をリアルタイムでモニタリングすることで,瞬間的で軽微な火傷や凍傷と酸素飽和率分布の関係や,室温変化と酸素飽和率分布の関係,基礎化粧品塗布後の酸素飽和率分布の変化など,皮膚の生理学的現象に関する新たな知見が得られると期待される.前年度のシステム開発を受け最終年度である今年度は以下の応用実験を行った. 広範囲の皮膚領域をモニタリングする際には,3次元物体である皮膚に生じる陰の影響を無視できない.そこで,我々がこれまでに提案,実証しているコンピュータビジョン技術とコンピュータグラフィックス技術を融合した新しい生体計測法であるメディカルビジョン技術を,前年度に開発した酸素飽和率分布モニタリングシステムに導入した.コンピュータビジョン技術として3つの異なる位置から順次照明し,画像間の演算により皮膚の絶対的な反射率を得るPhotometric Stereo技術を導入する.IEEE1394対応のデジタルカメラとストロボを同期させることにより,計測のリアルタイム性を損なわずに高精度の計測を実現した. また,高齢者などを在宅でモニタリングすることを想定し,照明を時空間的の高周波で変調し,高齢者が計測を意識されない状態でモニタリングするシステムを提案し,その基礎実験を行った. 研究成果は,2001年10月に北海道で行われた 生体医用工学に関する国際会議にて発表した.また,酸素飽和度のモニタリングシステムは,NHKの科学番組 ためしてガッテン においてとりあげられ,本研究費により作成した計測装置を用いた.
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