研究概要 |
フェムト秒レーザーを種光とした再生増幅器・光パラメトリック発振器を励起光源とした多焦点CARS顕微鏡システムと,2台の同期したピコ秒チタンサファイアを光源としたシステムを構築し,両者の比較を行った. 再生増幅器・光パラメトリック発振器を利用したシステムでは,レーザー光の尖頭出力がピコ秒チタンサファイアシステムを用いたものより100倍ほど大きいため,一度に広い範囲を励起できるが,スペクトル分解能が約30cm^<-1>と,同期ピコ秒チタンサファイアの5cm^<-1>にくらべて6倍程度悪く,またレーザーの強度も不安定(約10%の強度揺らぎ)なため1枚の2次元画像を観測するのに約20秒(試料ポリスチレンビーズ)を必要とした(ただし,従来のステージ走査と比較すると,約100倍測定時間の短縮化を行うことができている).これに対し同期ピコ秒チタンサファイアではレーザー光強度揺らぎが1%程度と高く,スペクトル分解能も高いことから3〜5秒で画像を取得することが可能であることが分かった.また,スペクトル分解能が高いことから,非共鳴バックグラウンドの影響をあまり受けず,高いコントラスト(signal/background比約6,光パラメトリック発振器システムに比べて約5倍程度向上)でスペクトル,イメージを得ることができることが分かった.
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