研究課題/領域番号 |
13750050
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
内田 淳史 拓殖大, 工学部, 助手 (50327996)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | レーザ / カオス / セキュリティ / 光通信 / 秘匿通信 / カオス同期 |
研究概要 |
IT時代の基盤技術となる全世界規模の光通信ネットワークは既に不可欠なインフラストラクチャとして定着しつつあるが、伝送時における情報セキュリティ問題は最重要課題であるにもかかわらず現在未解決のままである。従来のセキュリティ通信方式はコンピュータのソフトウェアで作成された暗号コードを用い、その秘匿性は計算量複雑性に起因しているが、これは近年提案されている量子コンピュータや次世代の超高速コンピュータにより原理的に解読可能となる。そこで従来の手法とは異なる、「原理的に安全な」通信手法の開発は緊急課題であり、本研究ではレーザカオスを利用した高秘匿光通信システムの開発を行った。 従来のカオス秘匿通信方式では単にカオス自身にメッセージを埋め込む手法が主であったが、本研究ではカオス信号自身をメッセージとして用いる「Chaotic on-off keying」法を新たに提案し、実験的実証に成功した。カオス的レーザ出力に外部強度変調をオン・オフしてデジタル信号と見做し、受信側ではカオス同期の精度の変化を利用して復号化を達成した。変調の有無に関わらず伝送信号の統計的性質は完全に一致しているため、伝送信号からメッセージ信号の解読は原理的に不可能であり、非常に高秘匿な通信システムが実現できた。 また、従来の光注入型レーザカオス同期法では二つのレーザ間でのパラメータ誤差に対する同期許容幅が広く、第三者のレーザにおいても盗聴可能であるという重大な欠点を有する。そこで本研究では新たなカオス同期法として、二つのレーザ強度の差信号を受信側の励起電流にフィードバックする「インコヒーレントカオス同期法」を提案し、その有用性を証明した。二つのレーザのパラメータ誤差に対する同期許容幅はいずれのパラメータに対しても1%未満と非常に狭く、秘匿通信用のカオス同期法として非常に適していることが分かった。
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