研究概要 |
近年,暗視野カメラなどの赤外線集光デバイスの応用が増えつつある.それに伴い,単結晶シリコンを基板とした赤外線光学レンズの非球面化が要求されるようになってきている.そのために,数値制御による精密な運動転写加工技術の確立が急務となっている.このような背景で本研究では,ダイヤモンド平バイトによる傾斜切削という新しい延性モード切削法を単結晶シリコン製大口径赤外線非球面レンズの加工に適用することによって,高精度・高能率・低コストの光学部品加工を目指している. 平成13年度では,直線包絡法による非球面切削加工システムの構築および予備実験を行った.平成14年度では,本加工システムを用いて直径125mmの単結晶シリコン製赤外線非球面レンズの加工実験を行った.まず,これまで平面切削の基礎実験によって得られた最適な加工条件を非球面レンズ切削に適用し,形状精度と表面粗さなどの測定と評価を行った.そして大口径レンズを加工する際,切削距離の増加に伴う形状誤差と微視的な表面形態の変化および工具の摩耗を調べ,それらの値を最小限にする加工条件の検討を行った.また,被削材の結晶異方性による切削特性の変化を調べ,切削面の回転中心から放射状に分布した脆性破壊の形成メカニズムを究明した.さらに,数値解析によって,均一な延性切削面を得るための臨界切削条件を予測した.そして実際に切削実験を行い,解析結果を検証しながら単結晶シリコン非球面レンズの適正な加工条件を見出した.
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