研究概要 |
平成13年度は,実験装置を設計・製作し,微細砥粒を混入した磁性流体を用いて毛細管内面の加工特性について検討した.以下に,その具体的内容を記す. 1.永久磁石を用いた実験装置および工作物支持用ジグの設計・製作 研究実施計画に基づいて,磁場発生源に永久磁石を取り入れた実験装置を設計・製作した. 2.スラリーの流動特性に関する検討(工作物支持用ジグの開発) 当初,スラリーの流動特性を現有のストロボライトを用いて詳細に検討する予定であった.しかし,試験的にスラリーを流動させたところ,毛細管固定用ジグがスラリーの流動を妨げてしまうことが判明した.そこで,スラリーの流動特性を目視観察しながら,試行錯誤的に毛細管固定用ジグを開発した. 3.板状工作物の表面研磨実験 毛細管の内面研磨実験の予備実験として,C3604黄銅板(28×14×1mm)と加工対象とした加工実験を行った.砥粒には,粒径20-30μmのダイヤモンド砥粒,WA#1500砥粒,WA#800砥粒を採用した.加工特性は,本研究費補助金により新規に購入したセミミクロン分析天秤による工作物重量の変化(加工量)および表面粗さプロフィールにより評価した.その結果,いずれの場合においても,黄銅板表面の精密加工(平滑化)の可能性が確認された. 4.毛細管の内面研磨実験 毛細管の内面研磨実験に先立ち,外径2mm,肉厚0.1mm,長さ15mmのC2700黄銅細管を用いて内面研磨実験を行った.WA#800砥粒と磁性流体の混合液を用いたところ,加工後の表面は加工前に比べて粗面化していた.しかし,走査型電子顕微鏡による加工面の微視的観察より,磁性流体に混入した砥粒の引掻き痕の集積として加工面が創成されることが明らかになった.したがって,加工条件に関する詳細な検討を行えば,細管内面の平滑化を実現できる見通しが得られたといえる. 5.研究成果のまとめ 本研究実績報告書を作成した.
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