研究概要 |
マルチワイヤソーの高精度・高効率化を目的とし,各種スライシング実験等を行った結果,次のような結論が得られた. ◎既スライシング面に生じるラッピング効果 (1)被削材を回転させることでラッピング効果は得られ,スライシング面粗さは向上する. (2)被削材回転速度が速いほど,短時間で十分なラッピング効果が得られる. (3)ラッピング時間比が大きいほど,ラッピング効果は顕著になる. (4)ワイヤ走行速度はラッピング効果に大きな影響をおよぼさない. (5)ラッピング時間が長くなるほど,ラッピング効果は顕著になる. (6)粒径の大小にかかわらず,ラッピング効果は得られる. ◎束状被削材方式によるスライシング (1)ワーク回転型マルチワイヤソーに束状被削材方式を採用することにより,スライシング後のウェハの散乱および切り残しを防ぐことが可能である. (2)束状被削材の外周を被覆することにより,より安定したスライシング性能が期待できる. (3)束状被削材方式を採用することでスライシング速度は大幅に向上する. (4)束状被削材方式を採用しても,非常に良好なスライシング面粗さおよび面精度が得られる. ◎ガイドローラに関する研究 (1)金属製ローラも限定された加工条件下では使用可能である. (2)耐摩耗性,滑り,成形性を考慮するとPOMがローラ材種として優れている. ◎使用済みスラリーの再生・再利用に関する研究 (1)砥粒およびカーフロスとフィルターの粒子捕捉能との関係を明らかとした. (2)分散液の回収率はろ過圧力に依存し,圧力400kPaのとき約90%となった. (3)分散液の回収速度は,スラリー温度に強く依存する. (4)再生砥粒を用いてもスライシング性能の大きな低下は認められない.
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