研究概要 |
研削加工は,高能率な仕上げ加工法として重要な加工法であるが,一般にそのプロセス制御は難しいものと考えられている.研削加工が難しいとされる最も大きな要因は,工具として用いる研削砥石の加工性能(=切れ味)の客観的評価法が確立されていないことである.この課題を解決するために,砥石の加工性能を客観的かつ定量的に評価するための具体的で普遍的な指標および方法の確立が求められている. そこで本研究では,研削砥石の作業面トポグラフィと加工性能を定性的および定量的に関係付け,研削砥石の加工性能をインプロセス評価するための実用的方法を確立することを目的に検討を行っている. 今年度は,まず作業面状態のインプロセス評価のためのプロファイル測定システムを構築した.本システムにおいては,実研削速度で高速回転する砥石のプロファイルを細かいサンプリング間隔で測定できるようにするため,レーザ変位計ならびに信号処理系の応答を高速化した.また,研削液が作業面上に付着しているとプロファイル測定に誤差が生じることを明らかにし,この対策として研削液の除去機構を組み込んだ.これらの対策により,砥石周速30m/s,研削液流量3L/minの条件で,研削中に作業面プロファイルを測定することができるようになった. また,作業面状態変化をプロファイルの相対度数分布に基づいて定量的に評価する手法を開発した.この方法を用いることにより,目こぼれ,目づまりおよび目つぶれが複合的に生じている場合にも,それぞれの変化の進行を独立に評価できるようになった.
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