研究概要 |
本研究は、原子間力顕微鏡(AFM)による固体表面観察においてプロープと固体表面との間に生ずる原子間相互作用を、カンチレパの剛性を考慮した分子動力学シミュレーションを通じ動力学的に明らかにすることを目的とする. 平成14年度は、摩擦力顕微鏡的な使用に着目し解析した.プローブ先端の大きさが反作用力像とプローブの運動挙動に及ぼす影響を明らかにするため、プロープ先端原子の数が1からダイヤモンド4格子となりほぼ平面とみなせる状態までを想定し、銅{100}面のスキャンを解析した。得られた成果を以下に示す. 1単原子プローブの場合、試料表面原子と試料表面原子との中間のポテンシャルエネルギーが極小となる領域にスティックし、原子スケールの2次元スティックスリップ現象が生じるとともに、鮮明な原子像が得られる。 2プローブ先端の原子数が試料表面原子の間隔(ここでは1格子定数)程度になると、試料表面原子と試料表面原子との間の領域にスティックしにくくなり、原子スケールの2次元スティックスリップ現象が生じにくくなるとともに,原子像は不鮮明となる. 3平坦な先端を有するプローブ(ここでは4格子定数)以上では、試料表面原子間隔の周期で存在するプロープ先端形状に応じたポテンシャルエネルギーの極小点においてスティックを起こし、原子スケールの2次元スティックスリップ現象が生じるとともに、鮮明な原子像が得られる。このことから、試料表面原子の周期性によって摩擦力顕微鏡でも原子像は得られることが判明した. 4研究成果は「Tribotest Journal」および「J.Materials Processing Technology」に掲載された.国際会議ASIATRIB'2002(Korea),IMCC'2002(China)、その他に国内の諸学会等で発表された。最終的に研究成果報告書としてまとめられた.
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