研究概要 |
本研究は,高機能性プラズマ流による難処理有害物質の無害化に向けた新たな学問体系の構築を目的とする.本年度では,ラジカル種を多量に有する高反応流動場の詳細な解明を行うために,前年度の研究成果を基に,非平衡プラズマ流によるラジカル生成反応流路を新たに作製した.本装置は,電極間距離を1mm〜2mmに設定し,印加電圧は方形波で±12kV,印加電圧周波数20Hz,流路断面は円形と矩形とした.オゾンやNO, NO_2の濃度,流速,温度の計測が可能である. 一方,有害物質の分解プロセスにおいて,OやNなどのラジカル反応流動場を明らかにすることは極めて重要であるが,計測が困難なため未だ十分に解明されていない.そこで,22の化学種,88の化学反応を考慮したラジカル混合プラズマ流の2次元数値モデルを新たに構築し,有限要素法を用い作製した反応流路形状に適用し,反応流動場を詳細に検討した. 具体的には,(1)速度及び温度分布は実験結果と数値解析に良好な一致が得られた.(2)NOおよびNO_2濃度分布は,放電部下流で最大値を示しその後下流方向へ減少する.計算結果は,実験結果とNOに関しては定性的な一致を示すが,NO_2では一致しないため,入口条件等の最適化が重要である.また,電極間距離を狭くするとNO, NO_2濃度共に減少すること,矩形断面流路の方が円形断面流路より流速の影響が大きいこと等が明らかにされた.(3)実験結果と数値解析の統合により,N, O等のラジカル種の二次元分布等,活性種解析が可能であることが示された. 本研究では,実験結果と数値解析を統合する手法を確立し,従来解明が困難であったラジカル反応流動場の解明や,反応流路形状やガス流量の影響を明らかにした.本手法を用いることで,有害物質無害化プロセス機構の解明や高効率な無害化システムの構築が進展することを確信している.
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