研究概要 |
車両や自動車などに搭載するダンパとして,従来から,磁性流体やMR流体を使用した粘性ダンパがある.これらのダンパに使用される流体は,磁場に反応する機能性流体の一つであるが,磁性流体の場合には飽和磁化が小さいため,磁性流体ダンパの減衰効果が小さいという問題が,一方,MR流体の場合には粒子が沈降してしまうため,MR流体ダンパの振動特性が時間的に変化してしまうという問題がある.そこで,本申請者は,磁性流体の飽和磁化が大きく,MR流体と比べて比較的粒子が沈降しにくい,新しい機能性流体として,磁気混合流体(Magnetic Compound Fluid(MCF))を開発した.また,国内外における学会等で発表を行うことができた.さらに,JSTから特許申請にまで至った. 次に,MCFダンパやMR流体ダンパのように,いかなる粒子が分散した流体をダンパに使用した場合に,粒子が沈降しない粒子無沈降型ダンパの開発に成功した.また,国内外における学会等で発表を行うことができた.さらに,TLOから特許申請にまで至り,建築構造物における耐震ダンパに実用化される段階にまで至っている.このダンパは,磁場を印加する手法を変えることにより,アクチュエータにも成り得ることを確認した.つまり,本申請の本題である,新しい機能性流体としてのMCFをもちいた,ダンパーアクチュエータ併用装置が開発できた. また,このダンパーアクチュエータ併用装置の周波数特性に起因するのは,MCF中の粒子の凝集体(クラスタ)によるものであることを明らかにした.また,このクラスタについて,初めて,流体から抽出することに成功し,肉眼で確認できる大きさからμmオーダーの大きさまで,自由に大きさを制御手法についても開発した.この技術は,自己集積化技術に結びつくものであるが,JSTから特許申請にまで至った. これらについて,国内外における学会等で発表を行っているが,クラスタという凝集効果を利用した,新しいダンパーアクチュエータ併用装置の周波数特性について,実験的に明らかにした.
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