研究概要 |
人間に危険な環境下での極限作業用ロボットが研究されているが,人間のもつ手先の器用さを実現することが不可欠である.人間は,組立作業において生じる把持物体と外部環境との未知の接触状態を手先の感覚だけで推定し,作業を進めることができる.このような人間の技量をロボットで実現するには,まず接触状態を検出・制御する必要がある. 研究代表者は,ロボットに装備した6軸力覚センサ情報を用いて,接触点位置や接触力だけでなく接触の種類をも同定する手法を提案してきた.平成14年度は速度情報を用いた以下の研究を行った. 1.ノイズを含まない場合について,ロボットアームの関節角度および角速度から手先位置,速度を算出し,接触状態を同定する手法を提案した.本手法は,接触力は同定できないが,同定問題が線形方程式に帰着される,アクティブセンシングの回数が少なくて済む,などの利点を有している.(RSJ2002) 2.ノイズを含む手先角速度を用いて接触点での角速度を推定し,共分散行列の固有値を用いて接触の種類を判別,接触法線および接触線の方向を推定する手法を提案した.角速度センサを用いた実験により,人問のセンシングに対する本手法の有効性を評価した.(名古屋工業大学卒業論文) 3.接触作業中の過大力や衝撃を避けるためにRCCデバイス等の弾性装置を手首部に取り付けることが多い.そこで,この弾性装置をバネ剛性としてモデル化し,アーム変位とセンサ位置での変位および計測力との関係式を導出した.これを剛性行列として表わし,接触状態との関係を明らかにした.本特徴は,接触点での力覚情報と速度情報の両方の拘束条件を用いたことである.本手法は,ロボットの的確なセンシング方法の生成,情報融合による接触状態の早く正確な同定,多指ハンド把握系のバネ剛性(JSHE2003)を用いた場合への応用,などが期待できる.(名古屋工業大学卒業論文)
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