研究概要 |
Position Dependent Graspの研究の目標は,床に置かれた複数の対象物をヒトがかき集めて把握する過程において,対象物の配置に応じてヒトが把握戦略を変更することを観察し,それをロボットに適用することである.前年度は,ヒトの動作の観察を行ったが,本年度はこの動作をロボットで実際に実現するために,床に置かれた複数の対象物の力学特性を中心に研究を行った. 対象物を床面上に置きかき集める際には,対象物を床面上で滑らせる必要がある.このとき,対象物は並進運動や回転運動をすることになる.特に回転運動の場合,従来は対象物と床面との間に働く摩擦力が集中する点をどのように定義するかが問題であった.これに対して,新たに等価摩擦中心の概念を定義した.対象物が並進運動する場合,摩擦力は摩擦中心に集中すると考えることができるが,摩擦中心の定義に定数をかけるだけで,回転運動にも適用できることを示した.これが等価摩擦中心に相当する. 床に置かれた複数対象物がかき集められる場合,対象物同士の間で滑りや回転といった相対運動が生じるが,等価摩擦中心を用いると,より正確に相対運動を予測することが可能となる. この成果を学術講演会で発表し,論文誌に掲載させた.
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