研究概要 |
本研究では広い視野と注目点部分での高い解像度を同時に実現した多目的かつ多機能的な利用が可能な入力画像を獲得する視覚センサ(広角中心窩視覚センサ)を取り扱っている.その中でも特長ある入力画像を効率よく利用するための中心視と周辺視の協調に基づく柔軟な並列画像処理系の提案及び検証を行っている.提案する視覚処理系のモデルは人間の脳の分散かつ協調処理に基づくものであり,試作機は複数台のコンピュータとマルチタスクOSにより構成されている.以下に本年度までに得られた結果を示す. 提案する柔軟な並列画像処理系の具体的アプリケーションへの適用及びハードウェア及びソフトウェア面での改良を行った. (1)雑誌論文「Multi-Functional Application of Wide Angle Foveated Vision Sensor in Mobile Robot Navigation」では,提案する処理系を有する広角中心窩視覚システムを移動ロボットのナビゲーションに応用し,センサから得られた広角中心窩情報の解像度変化に基づいた多機能的な利用を行っている.奥行き知覚の処理を中心視,自己位置検出の処理を周辺視と位置付けた協調処理実験を実行し,シミュレーションにより,広角中心窩情報の解像度が各処理に与える影響に付いての検証及び考察を行った. (2)雑誌論文「Visual Tracking using Wide-Angle Vision Sensor with Fovea」では,提案する処理系を有する広角中心窩視覚システムを移動する物体への視線追従制御に応用し,色や形状の情報に基づく中心視の処理と動きに基づく周辺視の処理の協調によりこれを実行している.ここでは,中心視の処理における色情報に着目し,柔軟な並列視覚処理系において色情報を扱う際に有効な減色手法について提案を行った.提案する手法は,解像度に応じて減色の度合いを変化させることで,入力した広角中心窩視覚情報の特長を留めつつ,情報量の大幅な削減を実現している.
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