研究概要 |
前年度に引き続き、紫外線を照射しながら高周波を通過させる実験を行った。実験は、Sバンドのレゾナントリング(2856MHz,2μs,50PPs,最大通過電力200MW)を用いている。 高周波周回中に紫外線を照射し、局所的に光電子を発生させることにより擬似電子供給点とし、発光及び帯電特性を調べた。照射場所としては、電荷の供給源と考えられる端部、または、格子欠陥が存在する場合に表面電界が高いため電子放出が大きくなると考えられるセラミック中心部とした。試料は、マルチパクタ抑止のためのTiN薄膜を端部に厚くコーティングしたアルミナセラミックと、コーティングを施していないセラミックを用意した。 コーティングを施さない試料では、紫外線照射により10MW程度の通過電力(最大電界〜1.5MV/m程度)で周期的なマルチパクタによると思われる発光が観察された。帯電が光電子により緩和されるために周期的にマルチパクタが生じたと推定している。 また、コーティングを施した試料では、紫外線照射部分が正に、周辺が負に帯電し、紫外線照射による電子供給と帯電との関係が明らかになった。コーティングを施さない試料では、紫外線照射と帯電の関連が明瞭ではなかった。これは、コーティングを施さない場合、紫外線照射部分以外からも一次電子が多く供給されるためと考えられる。 端部からの電子発生が抑制されている場合は、紫外線照射が擬似電子発生源として使用できることがわかった。また、端部へのコーティングは、マルチパクタや、帯電を抑止するのに有効であることが確認できた。帯電を最小化するようなコーティングが可能になれば、帯電特性が向上することが期待できることがわかった。
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