研究概要 |
本研究の目標は,線形補間後の画像から求められるIFSパラメータと原画像から求められるIFSパラメータの比較を補間対象画像のフラクタル次元を考慮した上で行い,補間前後のIFSパラメータの変化の傾向を明確にし,補間後の画像から得られるIFSパラメータの分布を原画像から得られるIFSパラメータの分布に近づけ,補間精度を向上させることにある.このため,まず補間後の画像から得られるIFSパラメータの統計的性質について解析・整理し,さらに,画像のフラクタル次元との関係を明確にし,その後,補間前後におけるフラクタル次元とIFSパラメータの変化の傾向を明確にすることで新たな補間法を実現する. 本年度は以前に提案した手法に関して既存の手法との比較・検討を行った.以前提案した補間法では,補間対象画像から推定されるフラクタル次元を用いFBMを擬似的に生成後,補間に利用することで,線形補間よりも良好な補間を可能にしていた.しかし,FBMを利用した補間法では対象画像のパワースペクトラムの分布が1/f^βと大きく異なる場合に補間が良好に行われず,特に補間する画素の間隔が大きい場合,良好な補間結果を期待できない.一方,画像符号化に用いられている反復関数系(IFS)を利用した補間法では,画素間隔が大きい場合にも対応が容易で,多数の手法が提案されているが,数値的には良好な結果が得られていない.そこで,IFSを利用した補間法についてDCTを利用した補間法との比較を行い,その有効性の再検討を行った.その結果,IFSでの表現に向いている単純なエッジ部分について良好な結果が得られることが確認され,今後の補間精度改善が期待できる.
|