研究概要 |
本研究では,画像符号化用高速ロスレス変換を開発することを目的とする.本年度は,ノンロスレス回転変換とロスレス回転変換(ロスレスDCTやロスレス直交ウェーブレット変換等で使用される)の互換性の低さを改善するために周期的構造を有するロスレス回転変換を提案した.本方式は従来の対応表を用いる方式に比べて以下の点で優れている:(1)互換性を考慮しながら対応表を作成することができるので,高い互換性を有するロスレス変換が設計可能である.(2)変換行列の整数化を行わないために構成(ハードウェア)が簡単になる.(3)対応表のサイズが小さいので設計が容易である. また,JPEG2000を用いたロスレス/ロッシー統一符号化において,高ビットレートで圧縮効率が低いという問題を解決するために,最適なロッシー再生方式を見つけることを目的に研究を行った.復号側が5/3-ILWT(逆ロスレスウェーブレット変換)の場合,逆量子化後,5/3-ILWTの前に整数化処理を行わなければいけないこと,復号側が5/3-IWT(逆ウェーブレット変換)の場合,5/3-LWT(ロスレスウェーブレット変換)内の整数化処理に含まれる定数に応じた帯域信号の平均値補正を行う必要があることが明らかになった.また,ロスレス再生に必要なビットレート付近を除いては,逆変換側で5/3-IWTを用いる方が圧縮効率が高くなることも示された.本研究により,5/3-LWTに基づいたロスレス/ロッシー統一符号化における最適な再生方式が明らかになったと言える.
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