研究概要 |
本研究では,V-PEACE方式による車両間情報交換システムに関する検討を行っている.我々はITS(Intelligent Transport Systems)において自動車交通の安全化,高効率化を目指した技術の一つである車々間通信に適した通信方式としてV-PEACE(Vehicle Position Environment Acquisition and Communication Evolution)方式を提案し,これまでシステムの基本構成に関して検討を重ねてきた.しかし,これらの検討は伝搬路の状況が理想的な場合のみの検討であり,マルチパスフェージングを考慮した検討やデータパケットを送信した場合の位置情報の精度などの検討が必要となっていた. 本研究では,V-PEACE方式においてパルスを送受信することで得られる位置情報の精度について,マルチパスフェージング環境下における評価を行っている.伝送メディアとしては,主に車々間レーダ用に割り当てられた帯域で車々間通信システムの検討も行われている60GHzのミリ波帯を用いることを前提とし,路面や側壁,並走車両からの反射波を考慮したシミュレーションを行っている.その結果,送信電力と位置情報の関係を明らにし,車両位置・サイズ情報ともに高精度な伝送が可能であることが示されている.また,車々間通信方式の基本性能の評価として,車両間でデータパケットを送信した場合の位置情報の精度についても検討を行い,車両位置情報を表すビット列に対して階層的に誤り訂正符号化を行うことにより,位置情報の精度の向上が可能であることが示されている.
|