研究課題/領域番号 |
13750366
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
情報通信工学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
矢向 高弘 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (20286652)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 実時間処理 / コンピュータネットワーク / 分散処理 / 分散制御 |
研究概要 |
本年度は、申請者がこれまで実装してきた実時間通信機構であるRT-Messengerと、それを広域ネットワークで利用するためのパケットフォワーディング機構であるRT-Forwarderとを用いて、広域ネットワークでの通信遅延時間の揺らぎを低減するための手法について研究を行った。 まず、RT-Forwarderが常に動作していると実時間通信以外の通信に与える悪影響が大きいことから、実時間通信が行われる時間帯に限ってRT-Forwarderを動作させるという同期型時分割多重化方式(Synchronous Time Division Internet)を考案した。これにより、原理的にはインターネットを介しても通信遅延時間に全く揺らぎを含まない時間に固定化することが可能となり、これはコンピュータネットワーク応用の新分野を開拓する一助になりうる画期的な成果である。 しかしこれを実現させるためには、パケットの伝播速度に匹敵する時刻の同期精度が要求されるため、リアルタイムOSでスケジューラが用いる時計を高精度で同期させるための手法を開発した。これは基本的にはNTP(Network Time Protocol)による時刻同期機構を用いてスケジューラの時計をも同期させるようにしたものである。これにより複数台のコンピュータを同期させることを可能としたが、評価の結果、同期の精度は数ミリ秒であったため、更なる精度向上のための工夫が必要であることがわかった。 さらに、周期的にRT-Forwarderが動作するだけでも、実時間通信以外のTCP通信のフロー制御に悪影響があることがシミュレーション評価の結果、明らかになった。しかし、これについて検討した結果、物理層に再送機構を組み込むことにより、性能の低下を十分に低減することが可能であることがわかった。 以上のように、RT-Messenger, RT-Forwarderの実現と、これらをインターネットへ効果的に導入するための手法と、他の通信への影響分析を行うことにより、超実時間分散処理を実現するための要素技術を確立することができた。
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