研究概要 |
本研究は,申請者が日本学術振興会特別研究員時の3年間にわたって行ってきた三次元音空間の記述に関する研究に基づき,理論的に確立していたが膨大なハードウェア規模と制勧系の制約から実音場への適用が全く試みられていなかったキルヒホッフの積分公式に基づく音場制御を実現しようというものである。具体的には,三次元音場を効率的に記述(符号化)し,それを伝送し,現在開発中のマルチセル型平面スピーカを用いることによりキルヒホッフの積分公式に基づく音場制御を実現する。聴覚特性を考慮することによりキルヒホッフの積分公式の近似がどの程度可能であるのか,キルヒホッフの積分公式を用いるにあたっての新しい空間の記述(符号化)に関して更なる考察を加え,マルチセル型平面スピーカを用いてその理論を実空間に適用したシステムを構築し,聴感的評価を行ないシステムの最適化を図る。 今年度は以下のことについて研究を行った。 1.三次元音場再生システムにおけるキルヒホッフの積分公式の近似,空間の記述(符号化)について理論的考察を加えた。さらに平面スピーカを用いた再生システムを構築し聴感実験を行った。 2.独立成分分析(ICA)による信号分離,人間の情景分析方法を考慮した音場の空間情報の取得とそれに基づく音源分離について研究をし,それらを用いた音場の記述について考察を加えた。音源分離の技術の空間記述への適用の可能性が確かめられた。 3.これらの結果を統合し,HDクラスの映像と音場の伝送システムを構築した。 4.これらの結果の一部を「Matching Pursuitを用いた音源方向推定と音源分離」として発表した。
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